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2021年7月5日
トピックス
北西太平洋亜熱帯域における19世紀後半以降の海洋環境変動〜硬骨海綿の地球化学的記録からの復元〜
東北大学大学院理学研究科の浅海竜司准教授(元琉球大学理学部助教*)、琉球大学理学部ならびに総合地球環境学研究所の新城竜一教授、名古屋大学大学院環境学研究科の植村立准教授(元琉球大学理学部准教授)、東北大学大学院工学研究科の坂巻隆史准教授(元琉球大学工学部准教授*)らの研究チームによる研究結果が、「Progress in Earth and Planetary Science」の2021年6月号に掲載されました。
大型の硬骨海綿(Acanthochaetetes wellsi)の骨格試料について年単位の分解能で化学成分を分析し、琉球列島域の海洋環境変化を示す1880年〜2015年の時系列データを抽出することに成功しました。硬骨海綿による100年以上の長期時系列データは、大西洋カリブ海以外では初めての記録となります。解析の結果、琉球列島海域において1960年以降の人為起源CO2の増加の影響が大西洋よりも大きいこと、海水温の数年・数十年スケール変動が存在すること、ローカルな陸源物質の流入やアジア地域からの鉛汚染の影響が記録されている可能性があることが示されました。この成果は、気象観測記録を遥かに遡る海洋データとして貴重であり、長期の海洋環境変動を理解するうえで有用であると考えられます。
・発表概要